2型糖尿病と仕事の関係

 今回は糖尿病と仕事、特に職業長時間労働との関係をみていきたいと思います。

 尿病は力士の職業病、と聞いたことがある方もみえると思います。これは間違いでは無く、現役力士の糖尿病罹患率を比べると、一般で3~4%なのに対し、力士は20%ほどだというデータもあります。特に引退した力士の罹患率は50%‼もいわれています。

 力士は太って体を大きくすることも仕事の内で、大量にエネルギーを摂取なければいけません。毎日厳しい稽古がありますが、意外にも摂取エネルギーより消費エネルギーの方が少ないと考える専門家もいるようです。

特に引退後は、食べる量は減らずに運動量だけが減る事が多いので、罹患率も増えます。

 では他にはどんな職業が糖尿病にかかり易いのか。かかりやすくなる状況と合わせてみてみましょう。

 まず挙げられるのが、営業職等の会社員。理由として宴席が多い、顧客の都合を優先させなければならない為食事が不規則になりやすい等があります。仕事の都合を優先させるということでは、接客業、医療関係なども状況によってはそうなります。また肉体労働者も力士と同じような理由で挙げられます。

 *生活リズムが作りにくい。

 *食生活が偏りやすい。

 *デスクワークで運動をしない。

 *大量に食べる習慣が身に付きやすい。

以上の様な状況が作られやすい職業が糖尿病にかかりやすいといえそうです。

 糖尿病にかかりやすい状況として長時間労働があります。

 勤務時間が長いと糖尿病の発症リスクが高くなると言うデータもあります。

長時間労働によるストレスや生活習慣が影響しているとみられています。長時間労働は朝食を抜いたり、遅い時間に食事をとる等不規則な生活や運動不足につながりやすいことが指摘されています。

 では、糖尿病になると仕事は制限されるのか。

 糖尿病の為に職業が制限されることは原則的にはありません。雇用者側も糖尿病を理由に拒否する事は原則的にありません。ただ、雇用者は労働者の安全と健康を考慮し、他人を傷付けないようにしなければなりません。ですから当然注意を要するケースもでてくるわけです。注意を要するケースとして、以下のものが挙げられます。

 *血糖コントロールが良好ではない。

 *重度な合併症がある。

 *合併症による視力障害、神経障害がある。

 *低血糖になる可能性がある。

 *無自覚性低血糖がある。

 *血糖値の異常による意識障害を起こす危険性がある。

合併症による神経障害では手足の感覚の低下、筋力の低下により運転操作がしにくくなり危険だと判断されるケースがあります。

潜水士、高所作業を伴う職業、飛行機パイロット、バスや電車の運転士等はかなり慎重な判断が下されることは想像に難くありません。

 今回は糖尿病と仕事に関してみてきました。どんな職業でも「しっかり健康管理できる!!」という方も、もちろんいると思います。それはなかなか難しい事ではないでしょうか。今健康な方も、糖尿病と健康とご自身の職業の関係、一度振りかえるきっかけになれば幸いです。